【人間区宝さんvol.013】株式会社寺地実業 寺地豪さん

今回の人間区宝さんは前回に続いて昨年のトークイベント「七人の変態~ZADANKAI~」に変態の一人として壇上していただいた株式会社寺地実業の寺地豪さんです。

寺地さんの職業はいわゆる「大家さん」。実は全くの異業種から突然、家業であった不動産・大家業に転身することとなった寺地さん。違う業界にいたからこそ見えてくるもの、見えるものがあったのではないでしょうか?そんな寺地さんの新しい業界での苦悩と挑戦する姿をご紹介します。

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成育小学校からほど近い場所に「事務所」「空間活用研究所」を構えています。

空間活用研究所とは
様々なプロジェクトを通して不動産の付加価値を高める為の活動の拠点。事務所であり、ショールームであり、D.I.Yのサポートをする場。(詳しくは→
こちら



地図ではここ↓





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自分たちでDIYして完成させたシンプルでスタイリッシュな空間。

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元々美容師として働かれていたと以前お聞きしたことがあったんですが、なぜ突然、家業である不動産・大家業に転身されることになったんでしょうか?


寺地さん
大学を卒業してから、どうしても美容師になりたいと思うようになってバイトしながら専門学校に通い東京の某大手サロンに就職が決まったんです。引っ越し作業を親父が手伝ってくれていたんですけど、ほんとに引っ越し作業が終わったと同時に親父が突然倒れてしまったんですね。


そ、それまたすごいタイミングですね。


寺地さん
ほんとにびっくりしました。当時から当然親父が会社を経営してることは知っていましたし、どちらかと言えば、そういう境遇が嫌で「見とけよ!」みたいな気持ちもあって東京で美容師っていう道を選択した部分もあったんですが、、、まさか親父がそこで倒れるとは思ってなかったです。

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僕はおばあちゃんっ子で、おばあちゃんに育ててもらってたんですけど、そのおばあちゃんから「親父が僕の事を応援してたから、東京で美容師として頑張れ」と背中を押してくれました。祖母のことが気がかりだったんですが美容師として働くことを選びました。


で、そこからなぜ家業に?


寺地さん
その後、家業は2~3年の間、祖母が運営していたんですが祖母も高齢になってきて声を聞いていてもしんどうそうでしたし自分自身も仕事に行き詰っている部分があって、実家に帰り家業を継ぐという決心をしました。

家業とはいえ、全然違う仕事だったと思うんですが、帰ってきた当初はどんな感じだったんですか?

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寺地さん
ほんと恥ずかしい話になりますけど、何にもしてなかったです(笑)何をしていいのか分からないっていう状態でもあったんですが、一番の原因は何もしなくてもお金が給料として入ってくるという状況だったんですよね。毎月末に家賃として振り込んでもらったお金の中からお給料をいただくっていうシステムが出来上がってたので、1年ぐらいは何にもしてなかったですね。


いやいや、まさに大家さんって感じやないですか!?不労所得うらやましい!!!(笑)でも1年間何もしてなかったのに逆に言えば1年後に何かのきっかけで変化があったってことですよね?


寺地さん
実は当時大家業をしながら別の事業もやってたんですね。2~3年ぐらいは委託事業だったり、起業するっていう方と一緒に事業立ち上げのお手伝いしたり色んな経験しましたし仕事の仕方をそこで学んだりもしてたんですけど、ふとある時に「これから先どうなるんやろ?」って思ったんです。


素朴な質問なんですが、不労所得である程度稼ぎもあるっていう状況で他の事業も立ち上げたりして「稼がな!」っていうような気持ちが沸きあがってくるもんなんですか!?

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寺地さん
それはあくまで結果論ですけど当時27~28歳で1日のタイムスケジュールが朝起きて、ご飯食べて、youtube見て、なんとなくボーっとしてFB見て、気付いたら夜の22~23時になってて何となく風呂入って寝てっていう生活はどう考えてもヤバいでしょ(笑)でも、そんな中でも心の中にはどこかに「何かしなあかん」っていう想いはずっとありましたし、多分どんな人でもでてくると思いますよ。そういう気持ちってww


トークイベントで「空間の変態」として壇上した寺地さん。

でもそれが、何をしたらいいとか、何から始めたらいいのか全然見えなかったし、分からない状態だったんですね。誰もそんなこと教えてくれる人いませんし。色々と動いていたので「あれやったらいい」とか「これやったらいい」とかアドバイスくれる人はいたんですけど、どれもしっくりこなくて、、、結果としてなぁなぁで過ごしてたなって思いますね。


なんかもがいて、くすぶってる感はありますね。


寺地さん
ですね(笑)もがいて、もがいてやっと少しづつ大家目線で物事をみれるようになってきた感触はあります。


この空間活用研究所もそうですが、現在、会社の物件も自分たちでリノベーションを行っていると聞いたんですが?

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空間活用研究所プロジェクトメンバーと

寺地さん
全てではないですけど、一度自分たちでやってみようっていうことで挑戦してみました。そうすることで一つ一つの工程を理解することができるし、工務店の方や大工さんとも顔の見えるお付き合いもできるようになった、何よりも工事の金額、納期、クオリティーを含めたすべてを管理することの難しさや重要性を身をもって学ぶことができたのは大きかったです。いやほんとプロに任せると楽です(笑)自分たちでリノベーションを行うなら時間管理や工事の進行をもっとシビアにやらないといけないですね。

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もはや職人にしか見えない寺地さん

今までならお金払ったら出来上がってた訳ですもんね(笑)そもそもなんで自分たちでやってみようと思ったんですか?


寺地さん
会社を継いで2年目ぐらいに、無駄な事が多いんじゃないかって思うようになったんです。というのも大家業ってやってみるとわかるんですが、色々と外部に委託してる業務があって、長く取引をしていく中でやっぱりなぁなぁになってしまってると感じることも多かったんですね。だったら自分でできる範囲の事は自分でやってみようって徐々に自分でやりだしたのがきっかけですね。

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事務所の隣りのスペースにもデザインからシルクスクリーンまでを手掛けるお店「theOPENnoe」というブランドの事務所兼作業スペースが。DIYを手伝う寺地さん。


自分でやるとやっぱりコスト的にはかなり違いますか?


寺地さん
コスト的には微々たるものかもしれませんが、自分たちでやることで浮いた資金を共有部分や物件に投資して、住民の方やこれから借りてくれるであろうお客さんに満足してもらえるような体制をつくっていくという感じに流れを変えるのが目的でした。やっぱり会社のメイン事業に正常な投資をしたいですし、しなきゃいけないと思いますし。ほんとにお陰様で失敗も沢山しましたが、今後に繋がるいい経験ができました。

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DIYで改装するマンションの一室(before)


なんかめちゃめちゃ良い経験されてますね!!一方で日本は空き家問題や人口減少などが大きな問題になってますけど、大家業をなりわいとする寺地さんとしてはそのことについてどんな風に考えていますか?


寺地さん
どうでしょうね~。今って国の後押しする政策の影響も少なからずあって地方移住する人も増えてるし恐らく今後もそういった動きって広がって増えていくと思います。そうなった時に僕の立場でいうと、この城東区という場所がどういった人に支持されるのか、またこの街の魅力ってなんなんだろうっていうことはすごく考えますね。

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というと?


寺地さん
大阪市内でも城東区は人気のある西区や北区などではないし、かといって郊外でもなく中途半端といえば中途半端な場所で自分は大家として何ができるんやろう?って。でも考えてみたら自分のやりたいことを自分のやりたいように自分なりに発信していくしかないんちゃうかなと。


そいう活動や発信を続けていく中で「なんかこいつらおもろい事やってんな」とか「こいつ何やってんのかな?」って思ってもらえたらええんちゃうかな、、ってか、それしかないんちゃうんかなって最近は思っています。

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リノべ―ションして生まれ変わった部屋(after)


大家目線でいうと「どういった層に入居してほしいか」ってターゲットを想像して、その層に向かって発信していくっていう手法があるんですけど、もうそういうことしても響かへんのちゃうかなって最近思うんです。

つまり暮らし方や価値観がこれだけ多様化していく中で今までみたいに、例えばお年寄りの方は和風が好きとか、そういう風に決めつけたり価値観や標準を寄せていかなくても、もっと自分たちが面白いっていう感覚を信じてやっていったらええんじゃないかと。それで誰かにとって「おもしろい」って思ってもらえて入居してもらえれば嬉しいし、何か始まるきっかけになったりして。それが今の自分にできるサイズ感じゃないかな~と思ってます。


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面白い帽子をかぶってる寺地さん。

なるほど!!でもまさに寺地さんが不動産業という世界に入って実戦してきてることって自分がおもろいって感じたり、こうちゃうかなっていう価値観を信じてやってみるっていうスタイルですもんね。では最後に今後の目標みたいなもの聞かせてください。

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寺地さん
自分たちでDIYして部屋をリノベーションしてますが、これも世の皆さんにどう評価されるかわからないんですけど、とにかくなんでもそうですよね。やってみないとわからないですし、やってみてダメだったらまた変えるかもしれないですし。とにかくできることを不器用でも一歩一歩進めていきたいし、そういう事を一緒にやっていく仲間(社員)を増やしてチームで動けるようになっていきたいですね。



なるほど~~今日はお忙しい中ありがとうございました!! また面白い事一緒にしましょう♪


寺地さん
こちらこそありがとうございました!!是非また何かあればやりましょう♪


取材を終えて


全く違う知らない世界に飛び込むってかなり勇気がいると思いますし、さらにそこで今までの方針を変えて物事を進めるってハードル高いと思うんですけど寺地さんの納得できないことはやらないという姿勢は凄いなって思いました。トークイベントで「空間活用研究所」というスペースを使わせてもらったんですけど区内でもまだこういう場って少ないと思うので興味ある方は一度訪ねてみてはいかがでしょうか?ここから何か始まったら面白い!!

詳細を知りたい方はこちら
↓↓↓
株式会社 寺地実業
空間活用研究所
theOPENnoe(ザオープンノエ)
KAWABATA channel(カワバタチャンネル)






ありがた~い一言

「自分のやりたいことを自分のやりたいように自分なりに発信していくしかないんちゃうかなと」
by寺地さん