【人間区宝さんvol.010】御祖酒造株式会社 杜氏 横道俊明さん

今回の【人間区宝さん】は野江出身で現在は石川県にある御祖酒造株式会社の杜氏を務める横道俊昭さんです。

杜氏になる以前はお酒は呑むのが好きだったが、日本酒のことはよく知らなかったという横道さん。その後とある日本酒との出会いが横道さんを日本酒造りへの世界へと導き大きく人生を変えたんだとか。

そのあたりの事も含めて色々と伺っていきたいと思います。

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関目にある池原酒店でお話を伺いました。

石川県・能登半島の中ほどに位置する中能登町。その中能登町に御祖酒造は明治30年(1897)に創業されたそうです。

能登半島
参照元:風土が薫る酒と食 おいしい田舎空間より


地図ではここ↓



どんどん引いていくと石川県の中能登町というのが客観的に理解できますww。

ではでは早速お話を伺っていきたいと思います。


―今現在は石川県の御祖酒造株式会社というところで杜氏をされているという事なんですが、僕自身が
お酒も呑まないこともあって杜氏さんがどういう働き方をされているのか全く検討がつかないというか想像できないんですが、教えていただけますか?

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横道さん
今では少なくなってきてはいますけど、僕は杜氏でも出稼ぎの杜氏なんで、お酒造りが始まったら半年間ぐらい、石川県の方に行く生活ですね。大体お米の収穫が始まる秋ぐらいから蔵に入って、蔵の掃除から始まって、仕込んで、できあがるのは4月の中頃か終わりぐらいまでなんで、そのぐらいまでは石川県は能登の方にいてます。



―そういった働き方なんですね。そうすると酒造りが終わった後の4月末からの半年間は何して過ごしてるんですか?

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横道さん
ダラダラしてるね(笑)前は滋賀県に住んでいたんで、帰ったら田んぼの手伝いとか田植え、稲刈りなんかもやってたんですけど、大体は基本7月、8月は一切何もしないですね。

社員として通年雇用という形式ではないので、ざっくりいうと半年間みっちりお酒作って、半年間は(失業)ゆっくりするっていうシステムですww。


―ははははは。すごい面白い働き方ですね~(笑)。でも始まったら休みないんですよね?1日どのくらい働くんですか?


横道さん
蔵の中に寝泊まりしてるんでね、勤務時間はあってないようなもん。まあ僕以外はみんな社員の人は通いなんですけど、朝6時から始業するんで僕は5時半ぐらいに起きて、夕方18時には一応終わって、ご飯食べて風呂入って、、、お酒造るって生き物相手にしてるようなもんなんで何かと手をかけてやらんといかんのです。大体夜中12時ぐらいまではちょこちょこ何かしてますね。


―もともと公務員されていたと池原さんにお聞きしたんですけど、何でまた急にというか杜氏になろうという事になったんですか?

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横道さん
急ではないんですけど(笑)もともと日本酒嫌いだったんですよ(笑)まずいから嫌いやったんですよね。でもビールとかワインとか酔っぱらうの好きやったんで味にこだわらず呑んでたんですけど、ある日恥ずかしいけど、、28ぐらいの時にうまい日本酒あるいうのを聞いて、呑んでみたら「なんじゃこりゃ~」ってなって(笑)こんな美味しいのあったんやと。今まで知らんかったん情けないなと思ってね、そこから段々ハマっていってね。


酒造る職人が当時後継者が不足してるって聞いて「そら~もったいない話やな~」って思ったんで自分でもなれるかな~と思い「いいですか?」って聞いたら「いいよ」って言ってもらえたんで、じゃあ~公務員やめますわって(笑)まあ別に深く考えてないし、1年やってあかん思ったらまた考えたらええわって(笑)


―えーーーーーそんな簡単に、、そんな感じなんですか?(笑)で、どうでした?今までは呑む側やったのが、作る側になって。


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横道さん
しまったなと(笑)金出して好きな事言いながら呑んでるのが良かったなと(笑)



―はははははは。何が一番きつかったですか?


横道さん
やっぱり体力的にきつかったですね、公務員でデスクワークしかしてなかったんが、下っ端ですし現場に入ると体がきつかったですね。32歳やったんですけど、一冬やってみて、きついけど、まあおもろいな~って思えて続けてみようと思ってそれからもう26年やってますね。

最初 体がきついのは今から思ったら楽やったなと思うんです。それが杜氏という形で責任もつようになったら精神的にきついですね、まあどの仕事もそうでしょうけど。体もそこそこきついですし、まあそこも慣れましたけどね。



―少し前から日本酒ブームみたいなものは広がってるような気はするんですけど、なり手の方っていうのは増えてるんですか?それとも減ってるんですか?


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横道さん
僕らの世代は少なかったですね。逆に僕の先輩は70~80代の方が多くて65歳ぐらいからの人がバリバリ現役でやってはりますね~杜氏の平均年齢が60こえてるかな。若手は増えて来てるんですけどね。ただ杜氏1人ではお酒つくれないので下で働いてくれる人がいないと難しいんですけど、そういう人のなり手がいてないですね。30代の方とかならまだあれですけど、20代の若い人はこないですね。製造業はどこも人材不足ですよね~。


―じゃあ例えば僕がやるたいですってなったらやとっていただけるんですか?


横道さん
うん、そうそう。10月からよろしくお願いしますですよ(笑)なんやったら今電話したら人捜してるからって話になるんちゃうかな~(笑)

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―ほんとですか!?(笑)でもね、僕ほとんどお酒呑めないんですけど、そんな僕でもいけるんですか?そんな人いてます?


横道さん
いてますよ。一滴も呑めないやつがええ酒つくったりするんですよ~これが(笑)まあ仕事やからきき酒はしますよ。まあでも最近の若い人はお酒が好きな人が入ってくるんで、呑める人が多いですけど、先輩なんかは仕事として入ってきてるから呑めない人いてるし、下戸の大杜氏って人もいるし、僕の師匠も呑めないですからね。

「のど越しがやっぱり大事や」いうて呑むのは呑むけど、フラフラなりながら酒作ってますよ笑



―ははははははは。面白い~~~♪じゃあええ酒つくれるってのは呑める呑めないは関係ないってことですか?


横道さん
ンま~関係ない事もないけどあんまりのんべえはあかんよね(笑)

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―出稼ぎで半年間みっちりお酒造って残り半年間はゆっくりされるとおっしゃってましたが、ぶっちゃけて半年間働いたら半年間は働かなくてもいいぐらい稼げてしまいうってことなんですかね?


横道さん
まあ細かいこと言うとそこまで休みもないし、どのくらの額が欲しいかってこともあるやろうし、会社によってもやり方があるでしょうけどね。なんとかやって来れてますね(笑)杜氏としての実力や蔵元との信頼関係もあるしね。ただお酒が悪くて売れなかったら来年はもうこなくていいよって話にはなりますね。そういう意味ではすごく緊張感のある働き方です。でもいいお酒つくろう思ったらそれぐらいの緊張感ないとあかんかなあ~ってのは個人的には思ってますよ。


―なんかプロ野球の世界みたいな感じですね。それは緊張感ある‼蔵元がオーナーで杜氏が監督みたいな。自分の実力次第でひっぱりだこの杜氏さんになって違うオーナーにハンティングされたり、逆に首になったりとかもありそう!!

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横道さん
まあ変わった世界やしそんなに大きい世界でもないからストーブリーグは色々あったりしますね(笑)


―独特の世界があって面白いですね(笑)ではズバリ聞きますが横道さん的に良いお酒ってどういったお酒なんですか?


横道さん
ええ酒いうのは人によってちゃうけど、評価っていうたら、どんだけ売れたかっていう話になるんちゃうかな~やっぱり。ただ難しいのがほんまにレベルの高いお酒であっても宣伝・マーケティング・値頃感とか総合的にうまくやらないと売れないこともあるし、逆にそこそこのお酒でもドバっと売れてるのもあるもんね(笑)

だから自分らの作りたいお酒のイメージってあるので、そのイメージに沿いながらもお客さんの求めてるものを意識して造って売れてくれたら嬉しいよね。


―今後、日本酒業界はどうなっていくんですかね?

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横道さん
お酒呑む人自体は減ってるんで、拡大してるかいうたらしてないと思いますけど、昔にくらべるといいお酒が呑める場所や機会は増えてますね。だから若い子がいきなり地酒を買いにくるなんてこともあるし。ただ供給側が出し方を間違えていたり、理解されてないこともあるんで、そういったところをわかりやすくビンの裏書き書いたりして伝える努力は弊社でもするようにはなってきてるんです。

でもそういう基本部分がちゃんとわかってれば、あとは好きなように呑んでもらうんがいいんですよ。その方が生産者側も「えっ!?そんな風にして呑むの?」とかって発見があるからね。


―なるほど~。なんか今日は色々お話聞かせていただいてありがとうございました!杜氏の仕事や日本酒について少しは前よりわかったような気がします。今度また蔵の方に見学しにいってもいいですか?


横道さん
いきなりは困るけど、事前に連絡してくれてたら大丈夫ですよ♪連絡ください。


―ほんとですか?では今度お会いするのは能登でお会いしましょう♪ありがとうございました!!



取材を終えて


日本酒のことを全然知らない僕にもわかりやすく杜氏や業界について説明してくれたり、おもしろ話をしてくれた横道さん。実はかなり有名な杜氏さんらしく今までも名だたるお酒を造られてきているそうなのです(なんだか失礼な質問も沢山したような気が、、、汗)9月からまた能登でのお酒造りが始まるそうなので、今度は現地で取材してみたいと思います。池原さんも色々とセッティングしていただいてありがとうございました!!!




◆関連リンク
御祖酒造公式ホームページ




ありがた~い名言
「相性やね」by横道さん
※飽き症で続けることが苦手だった横道さんが26年もお酒造りが続いたのは?の問い


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投稿者:タカシ@JJ

4 件のコメント

  • ただならぬ杜氏さんのようですねぇ。
    半年の余白は次の酒造りを考えたり、また新鮮に能登を感じるためにも大事なのだろうと思いました。

    タカシ@JJさん Good Job!!

  • ただならぬ杜氏さんのようですねぇ。
    半年の余白は次の酒造りを考えたり、また新鮮に能登を感じるためにも大事なのだろうと思いました。

    タカシ@JJさん Good Job!!

  • いってんさん
    本当そうかもしれないですね~まだまだここでは書けないことも含めて色々お話しできて楽しかったです♪

  • いってんさん
    本当そうかもしれないですね~まだまだここでは書けないことも含めて色々お話しできて楽しかったです♪

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