【人間区宝さんvol.008】Nextea (ネクスティー) 井上典子さん

今年4人目の【人間区宝さん】は”敷居が高い”と思わず思いがちな”日本茶”そんな日本茶をもっと沢山の方に気軽に触れて、身近に感じ、日常に飲んでもらいたいと様々な活動を行っているNextea (ネクスティー)代表の井上典子さんです。

お茶屋にフジロックのポスター!?日本で恐らく唯一製作、販売しているという素焼きのほうろく。失われつつある団欒といういうコミュニケーション。そんな大切な繋がりの場をお茶を通じて伝えていきたいと話す井上さんの活動に迫ります!

DSC_3472 1号線沿い、今福西にある創業150余年になる袋布向春園。Nextea(ネクスティー)として外部委託でお手伝いされている袋布家の次女、井上さんにお会いしてきました♪

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井上さんは、幼い時から身近に日本茶があるという環境で育ってこられました。そんな井上さんが思う日本茶についてのあれこれを聞いてみたいと思います


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お茶について話し出すと止まらなくなる井上さん

―えっといきなりなんですが、現在お店の入口をはじめ、店内にも貼ってありますFUJIROCKFESTIVAL’16のポスターが個人的にはすごく気になるんですが(笑)、お茶屋さんになぜフジロックのポスターが貼られているんですか?


あっ!そこ気になります?(笑)実はフジロックのスポンサーに象印マホービンさんがなられていまして、その象印さんの《給茶スポット》でマイボトルを持参いただくと袋布向春園の《いつものほうじ茶》が無料で給茶できるんです。毎年行かせてもらってて、これもひとえに沢山の方に美味しいお茶を飲んでもらって、身近に感じていただいて、知ってもらおうっていう取り組みの一つですね。

フジロックだけに関わらず、FM802ファンキーマーケット、ロハスフェスタ、京都音楽博覧会、頂フェスといった多くのイベントに象印さんの《給茶スポット》があって無料で給茶できますよ。


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販売中のcafe de GAMOYONさんとのコラボ商品を詰める作業中

―え~!?フジロックとか音楽フェスにそんな《給茶スポット》とかあるんですね!!知りませんでした!しかも袋布さんのほうじ茶を無料で飲めるなんて贅沢ですね!!!

それにしても井上さんは袋布向春園で働かれてるわけではないんですよね?Nextea(ネクスティー)って一体どんな経緯で生まれて、具体的にはどんな活動されてるんですか?



あ!やっぱりそこもわかりにくいですよね(笑)う~~んとね、ザックリいうと”より自由”に動くためです(笑)

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スタッフの方とワイワイしながら作業を進めていかれます。

―ほんとにザックリですね(笑)


すいません(笑)ちゃんと説明すると、きっかけとしては以前営業・企画をしている中でイタリアと日本との食や文化について交流し勉強し合うみたいな会に参加して3年間、毎年イタリアのウンブリア州とトスカーナ州で日本茶のイベントをしていたんです。

そこで見聞きしたり経験したイタリアの方の生き方がすごく豊かで。もうこれはその空気感を感じないとお伝えしにくいというか、わかりにくいと思うんですが、、、。

物質的には決して恵まれているとはいえないんですけど、人が優しく穏やかで時間がゆっくり流れていて一見無駄と思えることも沢山あるんですが、実はその無駄と思える事や時間は無駄ではなく逆に贅沢な時間だったり大切な事だったりするんだなあって思うようになりました。心が豊かなんだな、、、って痛感しましたね。

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今の日本のように簡単、便利であることが良いとされるような一方的な風潮が本当に健康的で幸せなことなのかなって、以前より疑問をもつようになったんです。だからといって日本が全部悪いっていう訳ではないんです(笑)良いとされるもの、されないものを知った上で選べる、まずそういうことが必要なんじゃないかなって。


―それすごくわかる気がしますね!なんだかお茶とか食だけの問題でなく、あらゆることに通じてることかもしれませんね~

そうですね、だから日本茶もそうなんですけど、今はまず知らない人が多い。だから多くの方に知ってもらうには幅広く活動して色んな方にお会いして、その中でできた縁をきっかけに日本茶について興味もってもらって、飲んでもらえるような活動をしていきたいと思ってNexteaを立ち上げました。

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もうね極端な話、すでにお茶に興味ある方はほっといても自分が好きなお茶を色々試しながら探していってくれるんでいいんです(笑)Nexteaの活動としてはもっともっと美味しいお茶というか本来のお茶の味や存在を知らない人たちに知ってもらうことなんですよ。


ただお茶だけを取り上げたイベントをしても、その当時中々人が集まらなかったので、いろんな食とお茶のコラボレーションイベントを企画・主催して、そこでお茶を飲んでもらうとかいうような活動をしています。皆さん美味しいって驚かれることも多く、びっくりされることも多いですね。

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あとはハーブ関係の資格を持っていますのでオリジナルのハーブティーを個人の方に向けて作ったり、企業さんに向けて作ったりとかですね。


―めっちゃ色々されてますやん汗。ハーブティーの資格ももってはるんですね?


そうですね、今でこそハーブの資格持ってる方って沢山いらっしゃいますけど。私が資格を取得しようと紅茶、中国茶、日本茶、ハーブの教室に通ってる時、なぜかいつも日本茶の教室は定員に満たないんですよ。で、逆にハーブの教室は満席なんです。なんでかな~って思って(笑)

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―で、実際に受けてみてどうやったんですか?

ザックリ言うと外国版の「日本茶」みたいな感じ(笑)ほんとに共通する部分は沢山あって学ぶことが多く、現在も役にたってるというかNextea(ネクスティー)らしい活動ができるのもその経験があったからだと思ってます。


―でたザックリ(笑)でも確かに共通する部分はありそうな気がします。

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逆にタカシ@JJさんにお聞きしたいのは”日本茶”って聞いてどんな印象をもってらっしゃいます?

―日本茶ですか?う~~~ん、正直ね「ウーロン茶って日本茶?」とかぐらいのレベルでお茶に疎いですし、そもそも値段的に高そう!とか敷居が高いってイメージがすごいあります汗


そうなんですよね~実はそんなこと全然ないんですけどね。いつの間にかそういうイメージになってしまってほんとに大変(笑)確かに高いお茶があるのも事実なんですけど、高いからってその人が好きなお茶になるかっていうと全然関係ないことで「その人にとって美味しいお茶が良いお茶」ですからね。

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スタッフさんが手書きで書いている人気の「袋布だより」

お茶といっても沢山種類があって日本独自で作り出されたお茶も結構あるんですよね。中国茶は中国茶でまた色々歴史があるんですけど、あ!もしよかったらほうじ茶飲んでみます?


―えっいただけるんですか?


私が職人さんと一緒になって製作、販売してる恐らく国内で唯一の手作りの素焼きのほうろくがあるんですけど。

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Nexteaの企画で職人さんに一個一個手づくりで作ってもらってるという素焼きのほうろく


ほうろくっていって、これでお茶を炒るんです。それでほうじ茶を作るんですね。


―えっ!?そうなんですか?炒るんですね!?なんかコーヒーみたいですね。

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そうですよ、同じようなもんですよ(笑)これがね雁ヶ音(かりがね)って言ってねお茶の茎の部分なんです。

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ろくろを使って手で作ってるので土の中に一杯気泡があるので、こうやって火にかけていくとね、その気泡が熱~くなってほうろく自体がとても熱くなるんですよ。

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ほうじ茶を入れます。

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段々色が変わってくるんが分かりますか?こうやって混ぜながら自分のさじ加減で、好みで炒り加減を見定めていくんです。


―ほんと少しづつ色が変わっていってます。あっ!!でももう茶のいい匂いが匂ってきましたよ!!!

そうでしょう~♪もう既にちょっと色変わってきてるでしょ。もうこうなったら火を止めるんですよ。ほうろくの余熱で炒っていくみたいな。ここでも自分の好みで炒るんですよ。


―え~~~ちょっとこれは深いなあ~

でしょ?(笑)この炒る!人間のどうでもいいような感覚の炒る(笑)だからね日本人っぽいでしょ?ええ加減なね(笑)煮きる!とか焼ききる!とか海外の方の感覚じゃないんですよ~日本人独特の感覚なんですよ~炒るって。


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で、こうして取っ手の部分からお皿に移すんですけど、これも結構驚かれますね~。


―でもこんなお茶を炒るなんてほとんどの方知らないんじゃないですか?

そうそうこの煎炒りたてのほうじ茶の事知らない方なんて死ぬほどいらっしゃると思いますよ(笑)


―いや~でもほんと、ほうじ茶のいい匂いがすごい匂いますね~。

でしょ~これはほんといい香りでね、ピラジンっていう香り成分がリラックス効果を高めてくれるんです。あとはうま味のテアニン。ほうじ茶を飲んだらほっとするのは、リラックスする香りの成分が含まれているからなんですね。

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若干炒って、色が焦げたというか色褪せたのわかります?このこげ茶色っぽいのがほうじ茶なんですよ。

でね売る時にはある程度水分残してると悪くなるの早いんで、ある程度水分をカツカツまで飛ばすんですけど、でも今すぐ飲むからちょっと水分が残ってる方が美味しいんですね。だから茶色と緑と黄色を混ぜながら見極めて止めるんです。

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―めっちゃこぼれてますよ井上さん(笑)

ほんとすげーこぼれたわ(笑)


―すげーこぼれたわって(笑)

はははははははは~!!これを急須にいれて

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桜の形した湯呑に入れたけど、茶色やから紅葉みたいになってる(笑)


―あ!ほんまですね(笑)では頂きます~♪うわっ!えっ、、、、!?何でしょう!!!口に含んだ瞬間に今までに味わった事のないようなお茶の香りが「ふわっと」抜けていきました!!!

おいしいでしょうーーー♪(笑)だから緑を残すことによって、うま味が残ってるんですよね~結局はいいお茶の茎やからそんだけうま味をもってるお茶なんで、そのまんまほうじに反映されるんですね。


―この一口含んだところから抜けてくる奥の方にある香りが甘い、甘いんですよ井上さん!!

そう!甘いんですよ~!!(笑)


―個人的にはね~その最初に抜けて行く香りが「ふぁゎん」っていってしまうので「いったらあかん!!!」みたいな、もうちょっと感じてたい!ってなりますね~(笑)なんかわかりにくくてすいません汗。あ~でもほんと美味しいです。


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Fujirockに来てください!!とのメッセージです


―ほんとこんな風に今日やって頂かなかったら「ほうじ茶がこういう風に作られてる」って知る機会もなければ、知ろうともしなかったと思うのですごくいい経験させてもらいました。

そうでしょう~、いや中々知っていただく機会もないとは思うんですけど、こういう事も含めてね日本茶について知ってもらえると、一回根付いたらね日本人のDNAにはきっとお茶を飲むっていう、、いや人にはそういうDNAが残ってると思うのでそれを思い出させれたらいいんですけどね~。


とにかくお茶(日本茶)は日常なんだよって私を見て思ってもらえたらいいなって思いますね♪


―井上さんに出会って以前よりも日本茶について色々聞かせてもらって少しは身近にもなったし、興味わいてきましたよ~~。今度またハート型の抹茶碗買いにきますね!!今日は長い時間ありがとうございました♪






取材を終えて


いつも明るくざっくばらんに色んな話をしてくださる井上さん。お茶の話になるとほんとに止まらなくなる姿を見るたびに「ああ~ほんとに、この人はお茶の事が好きなんだな~」っていうのが伝わってきて、思わず失礼ながらも愛をこめて”お茶のへんたい”ですねって言ってしまいました(笑)そんな言葉も笑い飛ばしてしまう明るい井上さんならきっとお茶のこと、もっと沢山の人に広めていけると思います!!ハート形抹茶碗はその後購入したので、今度は”イケメン”茶碗購入したいと思います!ありがとうございました!!!







ありがた~い名言
「いっつも我を見失ってます(笑)」by井上さん




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投稿者:タカシ@JJ