第4回目の【人間区宝さん】は城東区で創業されて50有余年。地元の人々に愛され続け今もなお、幅広い層の方々に支持されている老舗の手作り和菓子店。流れに逆らわず、淡々と和菓子を作り続けるお二人とは、、、、
”城東区の手作り和菓子界のレジェンド” 谷口忠良・紀代美さんです。
谷口忠良・紀代美さんご夫婦は蒲生4丁目交差点近くにある「御菓子 梅屋」さんで手作り和菓子を作り続けている和菓子職人 兼 代表です。
先日記事にした「かりんとう饅頭」を販売されている「御菓子 梅屋」さん。以前読者の方から「ここはオススメです」とコメントをいただいてから何度か足を運ぶようになり、お話していく中で今回取材させていただくことになりました。50有余年、和菓子を作り続けているお二人の口から出てきた事は驚くほどシンプルでした。
蒲生4丁目交差点からすぐのところにある「御菓子 梅屋」
―お邪魔します~。うわ~こんな感じになってるんですね~!手作り、手作りとお聞きしてたんですけど実際に作られている所を見るとすごく新鮮というか、店頭に並んでる商品がこのバックヤードで作られてるってのが驚きです。大体毎日何個ぐらい作られるんですか?
―忠良さん
大体1回で20~30個作れるんです。ただいろんな商品を作るんで正確には何個ってのは数えてないですね~。毎週お茶の先生方が買いにこられるので、あきないように色んな種類を少しづつ入れ替えて工夫するようには作ってますね~。大体20~30種類は作ってるかな~。
花によって色の違う餡を組み合わせたりしながら原型を作っていきます
―忠良さん
まあ~こんな事毎日してます(笑)
―忠良さん
こんな型もあってね、これが梅の花の方で、、、ここにはめて型をつけていくんです。
―うわ~すごーーーーい!!!梅が出てきた!!!これは驚くほど原始的な方法で、ほんとに手作りですね。
―紀代美さん
こねるだけやなくて見た通り花の形をつくっていかなあかんからね~。手間はかかります(笑)ほらっこんな風にこしたらしべになるんですよ~。こんなこと50年やってます(笑)
―うわ~ほんまですね!これは花の真ん中についてるやつ(めしべ?おしべ?)ですよね~!!??これはすごいし大変っすね~~。
―紀代美さん
作るの一苦労やのに食べたら一口やもんね~(笑)
サザンカに早梅
―忠良さん
季節によってね、当然咲き方や咲く花も変わりますから季節に合わせた花を少しづつ作っていくわけです。
―これを50年か~。よく50年も、、、、(笑)。ところで何で和菓子屋さんをしようってことになったんですか?
―紀代美さん
もともとはお父さん御菓子屋さんやったんです。
―えっ!?御菓子屋さんってのは洋菓子ですか?
―忠良さん
いえいえ僕らの時代の御菓子屋いうたら今みたいにお菓子が袋に入って売ってるんではなくて、バラで測り売りやったんです。小さな箱に入ったお菓子が何箱かあって気にいったお菓子を選んで袋に詰めてもらうっていう感じで、そんなお店が市場の中に入ってたんですね。
お店には親方がいて、そこで15年務めていました。そのうち市場の中にもいわゆる空きテナントが出てきて、市場の役員みたいな人が「そろそろあんたのところの若いもんに独立させたらどうや?」っていう話をもってきたんですね。
で、その当時は御菓子、ケーキ、饅頭という風に物によって販売できる権利っていうのをそれぞれのお店が持っていたんですね。で。たまたまその市場に饅頭を売ってるお店がなかったのんで饅頭を売ろうかっていう風になったんですわ。
開業当時、同じ市場で商売していた果物屋さんから祝いでもらったという福助さん。
その横には昔クリスマスに店頭に出していたというアンパンマン。
―ええーーー!?お菓子のカテゴリーによって販売権っていうのを持っていたんですね!!
―忠良さん
そうそう(笑)それがはじまりですわ。
―紀代美さん
そっから一から作り方習ってね。50年ですわ(笑)
―ふわ~~~!!すごいわ~。ちょっと待ってください!!50年和菓子やってこられたんでしょ?で、その前に15年御菓子屋さんで働いてたんですよね?ええ~~じゃあ~65年!?!?一体忠良さん何歳なんですか!?
―忠良さん・紀代美さん
はははははははははははは。
―紀代美さん
何歳やと思います?
―いや~もう全然わからないです(笑)
―忠良さん・紀代美さん
はははははははははははははは。
―忠良さん
だから~、、今で80歳半です。来年6月で81歳なりますわ(笑)うまいこと元気に生きてますわ(笑)
―いや~ホンマにすごいですわ。ところで話変わりますけど、これも手作りですか?
―忠良さん
そうですよ。そんなんも作ってますよ。焼きたてやし良かったら食べてみてください。
―うわ~めちゃめちゃ美味しそう♪いただきます!!
―普段食べてるのと違って何でしょう、、、変に甘すぎないっていうんですかね~。ちょうどよい甘さ加減で何個でも食べれちゃう感じに仕上がってますね!!
―忠良さん
うん、まあ~それぞれのお店でそれぞれの味付けっていうのがあると思いますけど、砂糖にもよるし餡にもよるし、ほんと入れる材料にもよるしねえ~。うちのはあっさりでしょう。
―娘さんは作れたりするんですか?
―忠良さん
ちゃんと作れますよ。製菓衛生士っていううのも持ってるしね、ただやっぱり前で売ってもうたりしてもらうのも大事やからね~。たまに「手伝って~」っていう事もあるしね。
―1日ずっと作ってはるんですか?
―忠良さん
そうですね、作ってますよ。5時半過ぎに入ってきて、餅が蒸すんが20分ぐらいかかるから6時前ぐらいには始まりますね。
―紀代美さん
この人一服せえへんねん。すぐ動きはるんです(笑)昼もちょっと食べたらすぐにこちょこちょ動くんです(笑)そのかわり夜は娘にも「早く帰り-」って言われるんで早いですよ。17時前後には帰りますよ。もうなんややることはずっとありますからどっかでくぎりつけないと(笑)
―なんですかね~その元気は?やっぱり好きなんですかね?
―忠良さん・紀代美さん
う~~ん、動けるからね~。動けるから動いてるだけかな~(笑)
―新作とかあるんですか?
―忠良さん
そうやねえ~やっぱり色々考えますよ~外は一緒やけど中を変えてみたり、逆もあるし、色々アイデアはこらしますよ。娘からの提案もあるから年に1~2個ぐらいは作ってますよ。
―やっぱり工夫されてるんですね~。 、、、、、黙々と作ってますもんね(笑)
―忠良さん・紀代美さん
やなら帰られんから~~(笑)
―ほんまにすごいですわ~思ってるより地味な作業ですもんね~。
―紀代美さん
いや~ほんとすごいんは歴史だけですわ(笑)
―こんな事聞いたらあれですけど作ってて嫌になることないですか?
―忠良さん・紀代美さん
嫌になったことはないですね~。そんなん思ってたら続きませんわ(笑)コレつくらなあかん思うだけで。次の事、次の事考えてやってますわ。ほんとに次々やることが一杯で余計なこと考えてる暇がないですもん。作らんかったら商品がなくなるしね~(笑)これで終わりってことがないからね~キリがないわね~(笑)ホント一杯なんです(笑)
―ですね~(笑)いや~今日はお忙しいところ色々聞かせてもらいまして、ありがとうございました!これからも応援してますので健康第一でがんばってください!!!
お二人が作った和菓子がこのように店頭に並んでいます
4年に1度開催されるいわゆる”モンドセレクション”の和菓子版的な会で受賞した賞状
毎年橿原神宮にお饅頭をお供えしてるらしく、それが30年続いていたのでいただいた鈴だそう。
今回お聞きしたけど、ここには載せきれなかった話も沢山あるんですが、お二人が鳥取から大阪に来た時の様子や馴れ初めのエピソードには今からでは考えられないような時代を感じるお話ばかりで驚くばかりでした。そんなお二人が50年以上お店を続けてこれたのは”やるべき事をやり続けた”というシンプルかつ普遍的なことだったように思います。時代の変化が早い今だからこそ難しい物事の真理が垣間見れたような気がしますね。また美味しい手作り和菓子を買いに行こうっと♪
ありがた~~い名言
「気が付いたら(50年)経ってましたわ(笑)」By忠良さん・紀代美さん